思い出その7

私が5,6才の頃だったと思う。
母方の祖母が50才代の若さで亡くなった。
母の実家は山奥の小さな村にある。
前には鮎が泳ぐ川が流れ、まわりは深い山に囲まれた静かな村だ。
そのころ、村ではまだ火葬ではなく(もちろん今は火葬である)、裏の山にあるお墓の下に遺体を埋めていた。
長方形の穴を掘って、棺桶をそこへ収めるのだ。
幼心にその穴の深さに驚いたのだが、今思えば、動物に掘り返されないためには、あれくらいの深さは必要なのである。
土をかぶせるとき、怖くて身動きが出来ず、息を殺してじっと見ていた。
不思議な不思議な時間であった。


そのお墓を守ってきた叔父が亡くなった。
今日、お骨になって、あのお墓に入る。
残された叔母がお墓を守っていくのだ。
やさしかった叔父に見守られながら・・・。